リストランテ ピッツェリア ムナチェッロへようこそ


地元の人々で賑わうサント・スピリト教会一角にひっそりと姿を現すお洒落なナポリ風レストラン。注意せず歩くと素通りしてしまうかも知れないシンプルな外装とは対照的に、ふきぬけた天井とナポリをイメージした装飾に息をのむだろう。


店内の至る所でみかける貧相な服を着た猫背の人形は“スカーレット”といい、イタリア南部にちらほら存在するいわゆる”物乞い”を指すのだが、その極度な猫背をさすり小銭を渡すと人々の願いが叶うと言われている。これらの作品は全て世界各地で賞を受賞し、ナポリを代表する陶芸家であるフェニョーリ氏によるものである。装飾に限らず、料理も魚介類をはじめ南部でしか味わえないナポリのマンマの味を忠実に再現している。


このレストランの名前であるムナチェッロとは、日本で言う座敷童のことである。悪戯好きの妖精としても知られるのだが、善人にはささやかな幸運をもたらすと言われている。目には見えない存在だが、正しい行いをすれば必ず支えてくれるだろうという、オーナーの率直な思いを込めて名付けられた。
かつてこの土地周辺はサント・スピリト教会の中庭であり、十九世紀前半には馬小屋として使われていた。このことは天井のつくりなどからも想像できる。日中に観光客の雑踏から逃れるようにアルノ川を渡ると、そこにはフィオレンティーナ(フィレンツェの人々)で盛り上がるサント・スピリト広場の青空市場を目の当たりにするかもしれない。夜中にも続く界隈を通り向けるとそこには店員の耐えぬ笑顔とマンマの料理が暖かく迎えてくれるだろう。

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